ルビーが見つかる瞬間に感じること

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ルビーの見つかる瞬間です。場所は、ミャンマー北部カチン州にあるNam-yaルビー鉱山です。右手の先にある黒っぽい石たちが「コランダム」、ルビーと同じ鉱物です。

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その中にほんの一握りのコランダムが、最初から赤い色をしています。

…それがルビーです。コランダム(Al²O³)酸化アルミニウム自体は、そんなに珍しい鉱物ではなく、上の黒っぽい石たちがそれです。そのコランダムに、ごくわずかのクロムが混入することで赤くなったのがルビーです。(諸説ありますが、0.5%の割合でクロムが入ると赤くなるといわれています)

実際の現場では、黒いコランダムは、あまり希少性の高くありません。処理をしてどのような姿になっても、宝石としての格は低いのはそのためです。

宝探しをしている現場で「宝物だ!」と感じたものが宝石だと思うのです。

色々な産地のルビー…それぞれに違う特徴があります

f:id:morisruby:20150213195446j:plain産地別に並ぶルビー、どれがどの産地なのか?

一番簡単に見分ける方法は、UVライトをあてると

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ミャンマー産は、鮮赤色に反応します。他は、タイランド産、アフリカ産です。

注意が必要なのは、人工合成石が一番、赤く反応することです。

 

天然無処理で美しいルビーの特徴は、宝石の特徴そのもの

天然無処理で美しいルビーの特徴…

1)人為的でない、しかし人を魅了する美しさ

2)金の1/10,000、ダイヤモンドの1/200の究極の希少性

3)何千年経っても変化しない驚くべき耐久性

これらの特徴を持っているのがミャンマー産の無処理で美しいルビーです。

購入する時にあまり変わらない価格であっても、いつか手放す時に100倍ぐらいの価格差になります。

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2012年のクリスティーズの落札結果ですが、左のルビーはタイランド産の加熱処理をして美しさを改良したルビー。そして右側が天然無処理で美しいミャンマー産ルビーです。カラット当たり100倍の価格差になりました。

いつか手放す時の値段が高いから…という損得の話をしているのではありません。

私たちは「宝石=宝の石」を持った人が、いつか手放す時にガッカリする方が、おかしいのではないか、と思うのです。

800年前のルビーのインクルージョン

 

宝石ジュエリーは、宝石が装着された宝飾品です。通常は、金や銀、プラチナなどの貴金属で成形されたジュエリーの枠に宝石がセットされています。

写真の指輪は、13世紀のモノで「指輪88」淡交社で紹介されています。

本文より引用>

愛の証の指輪

心地よい小さなルビーがイエローゴールドにそっとセットされた、可愛らしい指輪です。あぶみ型のリングの上に、少し背の高いカボションカットのルビーは、蛍光性が強く、内包物の状態からみて、ビルマ(現ミャンマー)産の無処理で美しいモノです。握り合う手のリングは、イタリア語で忠実を意味する「フェデ」と呼ばれ、愛を伝えるデザインとして使われていました。握り合う手のモチーフは二人の愛の証として古代ローマ時代からあり、中世に復活した後、12世紀にはイギリスでも用いられるようになりました。以来、婚約、結婚指輪として好まれて来たスタイルです。最近は、結婚指輪といえばダイヤモンドが一般的ですが、中世からルネッサンス期にかけての多くの指輪には、愛やハートの象徴としてのルビーが使われていました。<引用ここまで>

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この指輪を手に取った時に感じたのは、実際にルビーを贈り、またそれを受けて結婚した二人のことです。もし、このルビーリングが無ければ、実際に800年前に結ばれた二人の事を思うことはありません。それが、宝石ジュエリーの凄いところであり、ルビーがそのことを覚えているような気がしました。

そして、もう一つ… 小さなルビーは、ミャンマー産の特徴を示しており、天然無処理で美しいモノですが、800年経った今も、先ほど見た去年採掘された新しいルビーと何も変わらないことに驚きます。経年変化が無いのが宝石の定義の一つですが、それを目の当たりにしたわけです。

 

ルビーと呼ばれるものの種類

ちまたでルビーと呼ばれるものの中には、色々なものがあります。

天然ではなく、人工的に合成したモノ。

ガラスなど素材が全く違うモノ(模造石)

天然であるが宝石種が違うモノ(類似石)

天然ルビーであるが処理をして美しさを

改良しているモノ。

どれもルビーという名前で売られることがありますので、「ルビー」と聞くと「価値が分かりにくい…よく分からない」「胡散臭い」宝石...いや、宝石自体が胡散臭いと思われる事がよくあります。
しかし、「宝石の定義」を見直すと難しく考えすぎなければ、分かりやすく、とてもシンプルであることが分かりますし、長い歴史中で大切にされてきた訳も分かります。

宝石の定義は「美しく」「希少性が高く」「経年変化が無い」石のことですので、人工合成したモノは、いくらキレイでも、人の手で数が増やせるので「希少性」の高さを立証できない。模造石も同じです。また、人工的に処理をして美しさを改良したモノも厳密にいえば人為的に数量を増やしいていることになり、人工合成石ほどではないにしろ、希少性は大きく損なわれるはず。そして、天然無処理で美しいルビーであっても、産地によって希少性が全く違うので注意が必要です。
世界中で産出される「玄武岩起源」とミャンマー産、ベトナムの一部、アフガニスタンタジキスタンの一部など限られた地域で産出する「接触変成岩起源」のモノでは、同じ品質でも、価値が大きく違います。

宝石の定義にしっかりと照らし合わせると、よく分かります。

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ルビーは、光に敏感な宝石


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ルビーは、見るときの光線によって表情を変える宝石です。写真は、蛍光灯の下で見たルビー。蛍光灯は、ルビーの魅力が失われてしまう光源です。
キャンドルライトや松明の光は、ルビーを好きな方でなくても、その深いルビーの色に魅了されるはず。
さて、蛍光灯もキャンドルライトも松明も人工的な光源ですが、自然の光はどうでしょうか?
ルビーが最も美しく輝く光源は、これから大雨が降るだろう...という曇り空です。
下の写真は、上のルビーと全く同じモノです。

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ルビーを見るときの光源、気にしてみて下さい。

インクルージョンを見てルビーの好き嫌いを感じる

天然無処理のルビーによく見られるシルクと呼ばれるインクルージョン(内包物)。
針状のルチルの結晶です。

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同じシルクインクルージョンでも、人の指紋のように、法則が同じでも個性があります。

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人もルビーもこの世にたった一人、一つ。

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個性を大切にしたい。

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個を感じる...例えば、個性を感じる...

すなわち相性を感じるのは、

感性であり、理性ではありません。

正しいか : 間違いか

得か : 損か

は、理性的なのでしょう。

感性は、いつも喜怒哀楽で反応するはず。

好きか : 嫌いか

で感じる領域だと思います。

ルビーのインクルージョン。 シルクだけ

を見ても自分の持ち物だとしたら、

好き嫌いがハッキリするはずです。