なぜモリスは、ルビーの鉱山まで行ったのか…

モリスが天然無処理で美しいルビーだけを取り扱うようになったのは…なぜ?莫大なエネルビーをつぎ込んで、ルビーの鉱山まで行ったのはなぜ?


紅葉で有名な京都東山の東福寺の中門の隣でひっそりと創業したモリス。創業したてのモリスに、ルビーの結婚指輪の仕立て直しのお仕事が入った。お持ちいただいたお祖母さんは、亡き夫から結婚指輪として贈られた時の思い出話をいっぱいしてくれた。娘さんに残してあげられるのは、これくらいだから…でも形が古いので仕立て直しができないか?とのこと。大切なお仕事、喜んでお預かりするためにルーペを覗いたら…なんということか、人工合成されたルビーだった。お返しするときのことを考えると、黙ってお預かりする訳にもいかず、そのことを説明したら、先程までニコニコとお祖父さんのお話をしてくれたお祖母さんの表情が一転、「お祖父さんは、知らなかったはず…騙されたんだろうね」と涙が...。「プロが宝石として販売してはいけない人工合成石ですが、お祖父さんの気持ちがこもったモノですし、その時代は宝石として販売されていたから、お祖母さんにとっては、まさに宝石です」とお伝えしましたが、全く慰めにならない。「お墓まで持っていくわ…本当に残念だけど」と押し立て直しもしないことに。人工合成ルビーがお祖父さんとの山ほどあった思い出をダメにしてしまった気がし、それ以来、モリスは、受け継がれるときに宝物として誇りに思えるものが宝石だと、宝探しが始まった。

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地球の壮大なドラマが産んだ宝の石 ミャンマー産ルビー

地球の壮大なドラマが生んだ宝の石ルビー

45.5億年前...太陽から生まれ燃えたぎっていたガイア(地球)に、テイアが衝突し、地球の核と大気が生まれ、38億年前に生命が誕生した(バクテリア)。その生命はやがて、カンブリア紀の甲殻類、珊瑚になり、彼らの生命は海底の堆積岩となった。9000万年前に南極を離脱、1年に15センチという驚異的なスピードで北上するインド半島の移動により北へと押し上げられた、その生命の白い石(堆積岩)。やがて5000万年前、ユーラシア大陸と衝突、世界最大のヒマラヤ山脈をつくった。その時にできたのがルビーの母岩。地球の壮大なドラマがあって2000万年前に宝の石ミャンマー産ルビーが誕生した。

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加熱処理をして鉛ガラスを含侵させたルビーのインクルージョン

ルビーは、原石の時から美しいものは、ほとんどありません。内包物が多すぎて透明度に欠けるもの、色の濃淡が適切でないもの等々美しさに欠けるものばかり。せっかく産出されても、そのままでは宝石として販売できない為、ルビーは通常、加熱などの処理をして美しさを改良します。そして、その処理技術は、年々進化しています。少し前には、宝石として相応しくない原石も今では、美しいルビーに…写真は、鉛ガラスを含侵させながら、加熱処理されたルビーです。

ルーペをのぞいた時に、青みがかった縞模様が見えたら注意が必要です。宝石ルビーとしての価値は、ほぼありません。

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めったに見つからない、天然無処理で美しいミャンマー産ルビー


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宝石として販売されているルビーには、同じ名称でも、宝石として本来の価値を持つものから、見た目は価値が高そうでも、実際はそうでないものまで色々。天然であっても加熱をしたり、鉛ガラスを含侵させたり、表面だけ色を着けたり…

鉱山で仕事をしているとルビーの価値の大きな部分が、希少性にあると分かります。宝石の定義は、美と希少性と不変。

コレクションされる方は、宝探しをするつもりで探してみて下さい。

宝石ルビーを深く楽しむために、インクルージョンの観察を


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ルビーのインクルージョンは、そのルビーの個性であり、天然無処理で美しいことを表現します。ルビーは、美しさを改良するために一般的に加熱処理をするのですが、加熱処理をする前と後のインクルージョンの熱による変化を確認することで、処理の有無を判別することができます。慣れればルーペで観察することができます。

 

同じ赤色の宝石、ルビーとレッドスピネルの見分け方

スピネルとルビーは、よく似ています。同じ母岩で同じ様に見つかるため、昔から、スピネルとルビーは混同されて来ました。両方とも、赤くて美しいのですが、違うのは、ルビーの方が硬い。見分けるには、宝石を光にかざして動かしたときに、ある角度でピンク色とオレンジの二色が見えたらルビー。どの角度からも同じ色しか見えないのがレッドスピネルです。原石でも同じ見分け方ですので、知っておくと便利です。


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