宝石ルビー… なぜ見分けるのが難しいのか?

価値の高い宝石ルビーを探すのは、プロでも難しい。理由は、似たものが多すぎるため。有名で需要が高いが希少性も極端に高いため、同じものを作れば儲けることができたからです。(宝石の定義から見れば違うものですが…)
宝物の象徴であったルビーは、人工合成石が1883年にフランスのヴェルヌイ博士によって発明され、1908年に宝石ルビーとして世界中に商業的に販売されて行った頃を境に宝石としての地位を急速に失っていきました。宝石の定義は、美と希少と不変ですから、いくら科学組成が同じ鉱物であったとしても人の手によって数が増やせるモノであれば、当然、宝石の地位を失います。そう考えると、1970年代から盛んに行われて世界中に広がった加熱処理をして美しさを改良したルビーも同じ道をたどる可能性が高い。人工合成石とは違い天然石であるというところに境界線を引いて、処理をしたルビーの商品価値を守ってきましたが、これも加工数を増やしすぎたばかりにダイヤモンドよりも安くなってしまいました。短期的な商業を優先したために希少性に影響を与えてしまったという部分では、人工合成石と本質的に同じです。天然無処理で美しいルビーは、今も存在していますが、どれが天然無処理なのか?とても分かりにくくなりました。第三者である宝石鑑別業者が発行する鑑別業者が発行する分析結果報告書に「加熱された痕跡が認められない」とコメントされているモノを「非加熱ルビー」と呼んで希少性が高いと表現していますが、忘れてはならないのが、どこにも「無処理」とは書いていないところです。しかも裏書きには、「分析結果にて得られたデータを述べているだけで、品質を保証するものではない」と書かれています。販売する業者は、それをあたかも品質保証するものの様に使うのは問題があると考えます。誰も品質保証していないのに「非加熱ルビー」と品質を表しているような商品名だからです。ご購入を考えられている方は、宝石商に「天然無処理」であることを保証して貰うのが良いでしょう。プロの宝石商であれば、処理の有無を見分けるだけの眼があるでしょう。インクルージョン(内包物)を見てルビーの品質を判定する宝石商はプロです。
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