天然ルビーは、天然無処理で美しいモノなのか、人為的な処理をして美しさを改良して

いるモノかによって、宝石としての価値は大きく違います。

昔から残っているルビーがオークションなどに出品された場合、1ct当たりの単価に

100倍ぐらいの差がつくことも良くありますので、無処理で美しいルビーとそうでない

モノは、違う種類として考えた方が良いでしょう。

ルビーはエキスパートの宝石(専門家が取り扱う宝石)といわれますが…

さて、その見分け方は?

天然ルビーなのかどうか?

どこでとれたルビーなのか?(原産地)

天然無処理なのかどか?(処理の有無)

については、インクルージョン(内包物)の観察が有効です。

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このインクルージョンの写真は、2008年に米国GIAのシグリー博士の研究所に

鉱山で採取したサンプルを送付し、データを取って貰い、そして返送後にヤンゴン

自社工房で加熱処理をし、その後にもう一度GIAへ送ってインクルージョンの写真を

撮影して貰ったものです。情報交換しながら、加熱処理前後のインクルージョン

変化を記録していきました。

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600度で5時間、加熱処理をしたら下記のように、結晶が白濁しました。

このほかにも、小さな結晶が変質したり、また、色の濃淡が変わりました。

ということは、600度で5時間加熱すれば、加熱処理の兆候が表れるということです。

 

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ルーペでインクルージョンを観察すれば、上下の写真、熱による変化が分かると

思います。インクルージョンの写真を何万枚も撮影していると、上の写真は、

一般的なものですが、下の白濁した結晶を見ると「?」…

そのルビーの個性ではなく、不自然な違和感を感じます。

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宝石の定義は、「美」「希少性」「耐久性」があること。

天然無処理であることは、宝石としての格に大きく影響を与えます。

宝石ルビーを買う方が、インクルージョン(内包物)の解説もきちんと

受けるようにしてみて下さい。処理の有無だけではなく、宝石の奥深さが実感でき、

奇跡のように生まれた「結晶の神秘」を感じられます。