相性の良いルビーと出会うには… 考えたら分からなくなるもの

天然無処理で美しいルビーは、同じ顔をしたものが2つと無く、それぞれの個性が魅力です。個性が2つ以上あるところには、必ず「相性」なるものが存在します。
相性は、「善か悪か」「正しい間違い」「優劣」ではありません。
…「好きか」「嫌いか」のことです。
どのくらい品質が高くても好きになれないルビーは、しばらくすると慣れて、好きになることは無いのですが、最初に「いいな~」と感じたルビーは、しばらくすると「かけがえのない」存在になります。
 
例えば、下の同じ「色の濃淡」の枠で、ルビーを3つご覧いただきます。
 
 
優しい紫味を含んだ色合い... ミャンマー産ルビーの特徴的なものです。
 
 
 
続いて、その典型的なミャンマー産ルビーに薄っすらとシルクインクルージョンが入って柔らかさが出ているルビー。
 
 
 
インクルージョンは、多いものの「元気」を感じるルビー。
この3つのルビーは、同じ鉱区から産出したので、兄弟のようなモノですが、上のルビー好きな方も中のルビー、下のルビーが好きな方もいらっしゃいます。
好きか嫌いか?で見たら、全く違う印象を持つ3つになります。
 
色の濃淡(トーン)が同じであっても、受ける印象が全く違うのは、色合い、色相、色彩、などモザイク模様のバランスで、みた感じが大きく変わってきます。コツは、「考えない」で「感じる」ことです。
だから、好き嫌いで選んでも間違いないお店かどうかをしっかりと確認して、後は自分の好みで相性の良いものを選んでください。

インクルージョンは、ルビーの魅力


天然無処理で美しいルビーの魅力は、もちろん見た目の美しい赤色です。ルビーの奥底から沸き上がる赤いモザイク模様は、直接見る人の感性を刺激するようです。
そして、もうひとつのルビーの美しい魅力がインクルージョンです。

f:id:morisruby:20141203084707j:image


f:id:morisruby:20141203084806j:image


f:id:morisruby:20141203084820j:image


f:id:morisruby:20141203084839j:image

f:id:morisruby:20141203084909j:image

自然が産んだ宝石の内側に、まるで、抽象画のような景色が広がっています。
すべてのルビーには、すべて違うインクルージョンが内包されており、まるで人の指紋のようです。是非、ルビーの内側を覗いてみて下さい。ご興味がある方は、モリス銀座店にお越しいただければ、顕微鏡でご覧いただけます。

天然無処理で美しいルビーの出現率


宝石は、その長い歴史から、しっかりとした定義があります。
1) 人を魅了する美しさがあること
2) 希少性が高いこと
3) 経年変化がないこと
価値の高い宝石であるには、この3つの条件を満たしている必要があります。
美しいかどうか、また、経年変化の有無と比べて分かりにくい部分が希少性です。
天然無処理で美しいルビーは、一体どのくらい希少なのか?相対的に考えればよいのか?感覚的に捉えればよいのか?
モリスは、現場で出現する頻度を調査することから始めました。
鉱山を自社の社員で採掘し、どのくらい品質のものが、どの割合で産出するかを調査しました。

f:id:morisruby:20141129190401j:image

どの品質のものが、どの割合で産出するか?
これを肌で感じなければ、希少性の高さを自信を持って説明できない。そう感じ、モリスルビーのスタイルができました。

Nam-Ya鉱山のザッポーの自社鉱区の9ヶ月間の作業で採掘した原石を品質ごとに分けてみました。右上のお皿のほんの一握りの原石が文字通りのお宝のルビー「Gem」クオリティのものです。大きなお皿の原石は処理をして美しさを改良しないと、商品に成らないもの。下のお皿と中のお皿の原石は、無処理で使えますが、最高の品質ではありません。

天然無処理で美しいルビーの宝石としての価値を支えている希少性の高さが一目瞭然です。15年にも及ぶ調査の甲斐があって、ルビーの価値判断の精度が高められたと思います。

ルビーが産出される地層…Nam-Ya鉱山、Mogok鉱山

f:id:morisruby:20141127075138j:plain

写真は、ミャンマー最北部のカチン州Nam-Ya鉱山のルビーの原石が産出する地層

です。昔に流れ出し、地中に埋まった原石を土砂の中から探す漂砂鉱床という場所

で、下の写真のように見つかります。

f:id:morisruby:20141127075320j:plain

一日で見つかった原石。

f:id:morisruby:20141127075827j:plain

Nam-Ya鉱山の結晶は、小さいけど美しくて内包物などが少ないのが特徴です。

 対してルビーでは世界的に有名なMogok鉱山…

漂砂鉱床もありますが、一次鉱床(プライマリーソース)もあります。

私の左手あたりにある黒っぽい線状の部分がルビーの鉱脈です。 

f:id:morisruby:20141127080407j:plain

母岩の中で結晶化した姿のままで採掘されるのがプライマリーソース。

f:id:morisruby:20141127081928j:plain

ルビーの鉱山で感じる事は、地表に出てくる瞬間は、一次鉱床よりも二次鉱床

(漂砂鉱床)の方が自然でいいな…ということです。

無責任に感覚で話すべきではないと思いますが…

貴重な原石の形を活かして...っと思ったら、 ルビーの原石の形

f:id:morisruby:20141123203500j:plain

天然無処理で美しいルビーの形は、採掘されたばかりの原石の形で決まります。
この原石は、ハート型に仕上げると最も歩留まりが良いし、そうしようと思って
いましたが、この原石をご覧になられたお客様は、どうしてもこのままの形が良い!
と研磨せずに、そのままの形で納品されました。研磨作業は何時でもできます。
なるべく多く元々あったモノは残した方が、後からカット研磨できるので良いと
思いました

ルビー鉱山から産出された原石

f:id:morisruby:20141123093749j:plain

これは、モゴック鉱山から産出されたルビーの原石です。

お仲間の鉱区の方が持って来てくれました。

鉱区の皆さんが一生懸命に掘り当ててくれた原石ですが、残念ながら、宝石ルビー

としては、高い品質ではないので、いいオファーがしてあげられません。

宝石として素晴らしい、どんな品質の原石を探しているのか?

下の原石は、オーバーカラー(色が濃すぎ)

f:id:morisruby:20141123094313j:plain

これは、内包物があり透明度が低く、色も弱い。

f:id:morisruby:20141123094519j:plain

下の原石は、透明度が高く美しいのですが、色が弱い…

f:id:morisruby:20141123094429j:plain

下の原石が、ルビーとして素晴らしい色になる原石ですが、上の原石が何百個ある

うちの1個あるかないか…

f:id:morisruby:20141123094631j:plain

ルビーの価値は、原石の段階で決まっています。自然の産物である天然宝石は、

人の都合で産出量も変えられないし、資源が無くなったら、それで終わり。

いま、天然無処理で美しいルビーをお持ちの方は、どうぞ、「お宝の石」だ

と、その他の人為的に合成したものや品質を改良したと違うので、大切に受け継いで

頂けるように、そして、そのまた次の世代に受け継いで貰えるように、

メッセージを考えておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

宝石ルビーが見つかった瞬間の喜び

宝石ルビーを採掘する作業は、大変です。電気も水道もない山奥で、来る日も、

来る日もキツイ作業を続けます。

f:id:morisruby:20141120120700j:plain

 採掘の風景は先日のブログでご覧いただきましたが(Nam-Yaの漂砂鉱床)、

最後に比重の重たい大きめの石ころに混じって小さなルビーが見つかります。

f:id:morisruby:20141120121148j:plain

右手の前あたりにある黒い石の集まりが、比重の高いコランダムの小石

(ルビー、サファイアの鉱物名)の集まりです。

水で洗った土砂の中から砂金を探す方法と原理は同じですが、コランダムの中の

透明なルビー、サファイアかどうかの判断は人の眼で見分けます。

天然無処理で美しい結晶は、1個…その希少性は現場に近くなれば、なるほど、

強く感じます。

見つかった時は、たとえ…そんなに立派な品質でなくても(クオリティースケールの

色の濃淡では#2ぐらい)宝物を発見した!と、とても、とても嬉しいのです。

f:id:morisruby:20141120123352j:plain

まるまる1日で、これ一つですから、思わず、笑顔になります。

私たちモリスは、この黒っぽいコランダムは、このまま土に戻します。

この原産地で「宝物」に感じたものが「宝石」だと信じているからです。

この後、この原石たちは、ヤンゴンへ送られて行き、カット研磨、データ収集

が行われます。